複数社から借りている借金を1本化する目的があるローンがおまとめローンです。
おまとめローンは複数ある借入を1つにまとめることになりますので、借入額が高額になって金利を低く抑えることができるため、まとめる前と比較するとまとめた後のほうが毎月の返済額が少なくなります。
さらに返済日が1つになって管理がしやすくなり、いくら返済しているのかということが分かりやすくなりますから、精神的に楽になりストレスになりにくいというメリットがあります。
ところが、複数社で借りていた借入を1つにまとめることになって大きな借入額になり、そして金利が数%低くなるため毎月の返済額が減ると「楽になった」と安心するかもしれませんが、実は返済総額が増えている可能性があります。
なぜそうなるのかというと、返済期間が長くなるからです。
金利が低くなっても返済期間が長くなると、自然と利息を支払う回数が増えてしまいます。
返済期間を長くすると毎月の返済額は少なくなりますが、総額を見ることを忘れていると「支払総額が増えていた」ということになる可能性がありますので注意が必要です。
おまとめローンを利用すると毎月の返済額が少なくなりますので安心感を持ち、「かなり減った」「借金がなくなった」と勘違いしがちですが、現実はおまとめローンを利用しても元金は1円も少なくなっていないということをしっかりと把握しておかなければなりません。
油断しているとせっかくおまとめをしても借金の返済ができなくなる可能性がありますから、利用する前にはきちんと計画を立てることが大切ですね。
返済額と返済期間は反比例する場合がある
前述したように、複数の借金を返済しているときより、おまとめした後の返済期間のほうが長くなるという説明をしてきました。
それでは実際に分かりやすくシミュレーションしてみましょう。
おまとめローンする前の返済状況
金融機関 | 借金額 | 月々返済金額 | 総返済期間 |
---|---|---|---|
A社 | 70万円 | 25,000円 | 約3年 |
B社 | 50万円 | 18,000円 | 約3年 |
C社 | 30万円 | 15,000円 | 約2年 |
合計 | 150万円 | 58,000円 | 約3年 |
表にすると分かりやすいですね。
150万円の借金を毎月58,000円返済していると完済するまでに約3年かかるのがわかります。
それではこれを楽天銀行1社にまとめるとどうなるか見てみましょう。
金融機関 | 借金額 | 月々返済金額 | 総返済期間 |
---|---|---|---|
楽天銀行 | 150万円 | 20,000円 | 約10年 |
本来の返済先にキチンと返済できれば3年で終わるはずが、約10年間も返済しなければならなくなります。
借金額は変わっていないのに、返済金額が大幅に減ったんですから当然ですよね。
このように毎月の負担は大幅に減らすことができますがその分、借金の完済を先に伸ばしているだけという状況に陥りがちなのが「おまとめローン」の落とし穴なのです。
おまとめローンをする上でのデメリットはこの返済期間の長さにつきます。
じゃあおまとめローンは止めといたほうがいいのかな?
そう思って当然だと思います。
しかし、よく考えてみましょう。
あなたは、毎月高額の返済をし、月末に足りなくなり再び返済した分を借りてしまう・・・
このような自転車操業になっていませんか?
自転車操業になってしまっている方は、10年どころではなく、いつまでたっても完済できない状態のはずです。
そんな方は、返済期間の長さはまず置いておいて、月々の負担を軽くすることで追加の借金をしないこと、自転車操業から抜け出すことが大事なポイントになってきます。
余裕が出てきたら繰り上げ返済をするなりして、期間を圧縮していけばいいのです。
逆に、現状返済金額を自転車操業することなく返済できている方は、おまとめローンしなくてもいいのか?という話でもありません。
こういう方こそおまとめローンをおすすめします。
上記で例に出した楽天銀行で150万円のおまとめをした際の返済金額20,000円はあくまで最低返済金額なのです。
3社58,000円を毎月キチンと返済できている方は、おまとめをしても返済金額を変えなければ返済期間は伸びませんし。金利は下がるので逆に短くできるのです。
楽天銀行で150万円借りて毎月58,000円を返済した場合のシミュレーション
金融機関 | 借金額 | 月々返済金額 | 総返済期間 |
---|---|---|---|
楽天銀行 | 150万円 | 58,000円 | 2年半 |
同じ金額で毎月返していくと、おまとめ前は3年かかるはずだったところ、2年半で完済できる計算になります。
同じ期間かかってもいいから月々返済金額を安くしたいというのであれば、48,000円でちょうど3年で完済できます。
このように、自分の状況に合わせた返済の仕方をしていくことでデメリットはなくせますし、計画的な返済をしていくことが可能になるのです。
ただし、このように繰り上げ返済を利用して毎月きちんと自分で管理するのはとても大変なことです。
おまとめローンをしなければならないほどの借金を抱えた人はこの自己管理が上手くできない方が非常に多く、毎月の返済が楽なら・・・
と最低返済額での返済を続けてしまいがちになります。
真剣に借金をなんとかしたい、でも自分を律する自信がないという方は返済専用の消費者金融のおまとめローンを利用するといいでしょう。
※ここの記事では楽天銀行のカードローンでおまとめする例を上げましたが、2017年8月現在、銀行カードローンの過剰貸付が問題となり、金融庁から指摘が入っています。
そのような背景もあり、銀行は個人向け融資に対して非常に消極的となってしまいました。
楽天銀行も例に漏れず、審査をとても厳しくしているのが現状であり、一本化での借金完済を目指すなら消費者金融のおまとめローンを利用するのがベストな手段と言えるでしょう。